初めての悪事

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一歩一歩外へと足を運ぶ。 もしかして誰かが見ていたかも。 そう思うと誰もいないはずの背後にも気配を感じてくる。 カウンター前……店員がいぶかしげに見てくる。……全て錯覚なのだが……。 ありがとうございました! 店員の声に一瞬たじろぐも、何もなかったかのように外へ。 本屋から離れると自然と笑いがこみあげてきた。 あははははぁ!万引きした俺に向かって、ありがとうございましたとか言っちゃってるよ!あははははぁ! やってみれば案外簡単だったな。 手の汗もすっかりと乾き、足がガクガクくるような異様な興奮を感じていた。 悪事ハ楽シイ事ダ。モット悪ニ身ヲ染メロ。 背後ではベルゼブブの影が不敵な笑みを浮かべていた。
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