勇気

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「美桜、左手出してくれ。」 「……え?左手?はい、これでいい?」 いきなり告げられた言葉に首を傾げながら、蓮に向かって左手を差し出した。 「俺から美桜へのプレゼントだ。受け取ってくれ。」 私の耳に甘い囁きが響いた瞬間、左手の薬指に嵌められた光り輝く指輪。 「っ、蓮、これって……、」 「ああ、婚約指輪だ。本当は婚約披露パーティーの挨拶前に渡すつもりだったが、パーティー中に馬鹿女が話し掛けてきた事で予定が狂った。」 「蓮、ありがとう。」 「ああ、気に入ったか?」 「うん、本当にありがとう。ダイヤモンドがキラキラ輝いていて綺麗。私、凄く幸せ。」 「俺も幸せだ。心からそう思ってる。美桜、指輪は絶対に外すなよ。約束出来るな?」 「っ、はい。約束します。」 蓮が私のために選んでくれた婚約指輪。 この婚約指輪には蓮の想いが詰まっているから、何があっても絶対に外したりしない。 本当に嬉しくて幸せで涙が溢れてくる。 「美桜、泣くな。」 「っ、ごめんなさい……ふ、っ、でも嬉しくて……、」 「ふっ、泣く程喜んでくれるなら毎日指輪を贈ろうか?」 蓮は楽しげに笑って甘く囁き、泣いている私を抱き締めた。
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