憎悪

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「……はあ。」 今日も嫌な視線を感じた……。 いい加減にして欲しい。 会社を出て車に乗り込み座席に深く身体を沈め、嫌な視線から逃れられた安堵から大きく息を吐き出した。 「美桜、どうした?体調が悪いのか?」 「ううん、大丈夫。何でもない。」 蓮に心配をかけないように笑ってみたけど上手く笑顔を作れない。 蓮の第二秘書として勤め出してから二週間経って、少しずつ社員の人達とも話せるようになってきたけど、秘書課と受付の女性社員からは邪険にされている。 蓮と一緒に行動している時にすれ違ったりすると必ず睨まれるし、私が一人で行動している時は大声で暴言を吐かれる。 いい大人がイジメなんて馬鹿馬鹿しいと思うから無視してるけど、毎日攻撃されると精神的に疲れる。 蓮の第二秘書であり婚約者という立場の私が気に入らないのは分かるけど、蓮を支えたいという気持ちは誰にも負けない。 「美桜、無理するな。我慢出来ない時は言ってくれ。」 「蓮――…、気付いてたの?」 「当たり前だろ?美桜の行動はSPに報告させてるからな。」 「……そう。全く気付かなかった。」 蓮に心配や迷惑をかけないように行動しようと、一人で外出する時はSPと一緒に出掛けていたけど、社内にもSPが居たなんて思わなかった。
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