103人が本棚に入れています
本棚に追加
「美桜さん、こちらが本日の副社長のスケジュールになります。」
「ありがとうございます。」
佐伯さんから蓮のスケジュールが記載されたメモを受け取り、副社長室に配置された自分の席に腰を下ろした。
蓮の第二秘書として勤める事を承諾した日から二週間、毎日忙しくて大変だけど少しずつ社内の雰囲気にも馴れてきた。
蓮の第二秘書としての仕事はやり甲斐があって楽しいけど、毎朝佐伯さんから渡される蓮のスケジュールを見て驚いてしまう。
休憩時間が殆どない。
蓮は佐伯さんによって分刻みで組まれているスケジュールを、嫌な顔一つせずに淡々とクリアしていく。
仕事に対する蓮の真剣な姿勢は尊敬しているけど、休憩時間がないと休めないから体調が心配で仕方ない。
「美桜、ただいま。今日の夜は取引先との会食がある。佐伯の代わりに来てくれ。」
蓮のスケジュールを手帳に書き写していると、会議から戻って来た蓮に声を掛けられた。
「副社長、お疲れ様です。会食ですね?分かりました。」
会食で美味しい食事が出来るのは嬉しいけど、取引先の人達に話し掛けられるのが苦手で蓮を頼ってしまう。
佐伯さんなら上手く対応出来るのかもしれないけど、まだ秘書として半人前な私には難しい。
最初のコメントを投稿しよう!