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「俺が佐伯に確認したのは、監視カメラの映像とボイスレコーダーの音声の保存についてだ。」
「……え?監視カメラとボイスレコーダー?」
「そうだ。今日此処へ来たのは映像と音声の保存が目的だ。」
どういう事?
今日は荒木専務と会食をするために来た訳じゃなかったの?
蓮の言いたい事が全く分からない。
「蓮、もっと詳しく説明して欲しい。」
「ああ、分かった。佐伯、美桜に説明してやってくれ。」
「はい、畏まりました。」
蓮は私の手を握って佐伯さんに視線を向けると、佐伯さんは頭を下げて微笑んだ。
「美桜さん、私から全てお話しますので聞いて下さい。」
「はい、分かりました。」
「説明を始める前にお伝えしておきたい事があります。今日此処へ来た本当の目的を美桜さんに隠していたのは、純粋で素直な美桜さんが自然に振る舞えるようにするためです。」
「私のためですか?」
「はい、そうです。私は余計な事を言って美桜さんを不安にさせたくないという副社長の意見に賛成しました。」
二人の優しさに涙が溢れそうになる。
もし今日の会食には裏の目的がある事を先に知っていたら、私は動揺して普通に行動出来なかったと思う。
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