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「今日の会食に園田香織さんが同行するという情報が入った時、副社長から此処に監視カメラを仕掛けるように言われました。」
「そうだったんですね。何も協力出来なくて申し訳ありませんでした。」
蓮を支えたいと思っているのに、何も出来ない自分が情けなくて泣きそうになる。
蓮の優しさに甘えて守ってもらうばかりで、何一つ自分で解決出来ない弱い自分が嫌になる。
「美桜さん、落ち込まないで下さい。美桜さんはちゃんと協力して下さいましたよ。」
私が此処に来てからした事といえば、自分の気持ちを園田さんに伝えただけ。
それが協力した事になるの?
「今日此処に美桜さんが居なければ副社長の計画は成功しませんでした。美桜さんの存在が副社長の支えなんですよ。自信を持って下さい。」
「っ、佐伯さん。ありがとうございます。」
凄く嬉しい。
佐伯さんの温かい言葉を聞いて私の頬に涙が零れ落ちた。
「美桜、泣くな。」
「っ、蓮、ごめんなさい……う、悲しくて泣いている訳じゃないの……ん、っ、幸せだから泣いてるの……、」
「ふっ、そうか。美桜が幸せなら俺も幸せだ。」
蓮は私の頬に流れる涙を拭うと、優しく抱き締めてくれた。
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