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「副社長。話を先に進めたいのでスキンシップは帰宅してからにしていただけますか?」
「あ……、」
蓮の雰囲気が二人っきりで過ごしている時と同じだったから、荒木専務と園田さんの存在をすっかり忘れてた。
私、危機感がなさすぎる。
こんな事をしていたら柳瀬光也と園田さんに勝てない。
「ちっ。佐伯、煩い。邪魔をするな。」
「邪魔などしていません。私は早く話を済ませて副社長と美桜さんを二人っきりにして差し上げようと思っただけですが……、」
「はあ、分かった。早く続きを話せ。」
「ふっ、畏まりました。」
蓮に鋭く睨みつけられても微笑んでいられる佐伯さんは、ある意味誰よりも危険な存在かもしれない。
佐伯さんの微笑みには逆らえないような威圧感がある。
「美桜さん、先程までの内容は御理解していただけましたか?」
「はい、佐伯さんは蓮から指示を受けて此処に監視カメラを仕掛けた。その理由は園田さんから何かを聞き出し証拠を掴むためですよね?」
「はい、その通りです。此処には五つの監視カメラが仕掛けてあります。そしてボイスレコーダーは私の鞄の中に入っています。」
私に微笑みかけながら佐伯さんが鞄から取り出したのは、手の平サイズの小さなボイスレコーダーだった。
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