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「美桜さん、分からないですか?」
「はい、分からないです。ごめんなさい。」
佐伯さんからの質問に答えられなかった事が恥ずかしくて、真っ赤な顔を隠すように俯いた。
「ふっ。美桜さん、顔を上げて下さい。」
「はい、本当にごめんなさい。」
佐伯さんの声に促されて顔を上げると、優しく微笑む佐伯さんと目が合った。
「今日の計画に美桜さんの存在が必要だった理由は、園田さんの嫉妬心を煽り柳瀬光也との繋がりを明らかにするためです。」
「柳瀬光也――…。」
園田さんと柳瀬光也の婚約は世間に公表されていないから、二人に繋がりがある事を掴むためには園田さんから聞き出すしかない。
でも普通に聞いた所で園田さんが素直に答えるとは思えないから、蓮の婚約者であり秘書として此処へ来た私への嫉妬心を煽り逆上させた。
そんな計画だと知らない園田さんは、蓮に挑発され事で怒りに支配され取り乱してしまったから、柳瀬光也の名前を出されて動揺した。
はっきりと婚約関係を認めた訳ではないけど、動揺している姿を見ただけで二人に繋がりがあるという十分な証拠になる。
今回の計画成功はこれから先の計画に役立つはず。
絶対に二人の思い通りにはさせない。
綾瀬の会社が奪われた時のように黙って言いなりになったりしない。
蓮の大切な物は私が守ってみせる。
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