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「美桜さんもご存知の通り園田さんは頭の弱い女性ですから、副社長の策略に嵌まりこちらの思い通りに行動してくれました。」
「あ、あの……、佐伯さん?」
「はは、実に愉快でした。美桜さんもそう思いませんか?」
「えっと、あの、私は………、」
何だか佐伯さんの人格が壊れ始めてる気がする。
佐伯さんはいつも丁寧な言葉遣いで話しているから、誰かを悪く言うなんて思わなかった。
今まで静かに私達の会話を聞いていた園田さんも『性悪』や『頭の弱い女性』なんて言われたら、怒りを抑え切れなくなるかもしれない。
「はあ、佐伯。落ち着け。美桜が怖がってる。」
この状況をどうすればいいのか分からずに困っていた私を見兼ねて、蓮が呆れたように溜息をついて佐伯さんに声を掛けた。
「……え?美桜さんが私を怖がってる?」
佐伯さんは蓮と私の顔を交互に見た後、不思議そうな表情で首を傾げた。
もしかして佐伯さんは、園田さんから向けられている突き刺さるような鋭い視線に気付いてないの?
もし私が『性悪』や『頭の弱い女性』なんて言われたら怒りより悲しくなるけど、プライドが高い園田さんには屈辱だと思う。
どうにかしてこの場を丸く収めないと、また争いが始まってしまう。
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