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「美桜はお前の腹黒さと毒舌に驚いてる。」
「あー、そうですね。美桜さんに私の本性をお見せするのは初めてですね。はは。」
「はあ、本性とか言うな。」
蓮は楽しそうに笑う佐伯さんを見て、うんざりした表情で溜息をついている。
私は二人の会話に耳を傾けながら、前の席に座っている園田さんに視線を向けた。
「あ、あの。園田さん。」
「何かしら?」
「っ、いえ、あの……、」
恐る恐る園田さんに話し掛けてみたけど、鋭い視線を向けられた事に驚いて言葉に詰まってしまった。
「言いたい事があるならはっきり言いなさいよ!!園田さんは本当に『性悪』で『頭の弱い女性』ですねって言いたいんでしょう?」
「ち、違います!!」
やっぱり園田さんは佐伯さんの言葉を気にしていた。
どうしよう。
蓮の計画は成功したから、言い争いが始まる前に帰る事を提案しようと思って話し掛けただけなのに……。
「園田さん、美桜さんに当たり散らすのは止めていただけませんか?」
「何ですって?秘書は黙ってなさい!!」
「ふっ。貴女は自分が『性悪』で『頭の弱い女性』であると分かっているからムキになっているのですか?」
「貴方。名前は佐伯だったわよね?秘書の分際で私に生意気な事を言うなんていい度胸してるわね?潰すわよ。」
冷静な態度で微笑みながら話している佐伯さんと違って、園田さんは苛々しているのか口調が荒い。
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