勇気

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「美桜さん、謝らないで下さい。貴女は副社長の大切な婚約者です。副社長の第一秘書である私が美桜さんを守るのは当然の事です。今日はSPの人数も増やす予定なので安心して下さい。」 「佐伯さん、ありがとうございます。」 私は自分の立場を軽く考えていた。 もし園田さんが何かを仕掛けてきた場合、蓮の婚約者である私に何かあれば蓮に迷惑がかかる。 だから佐伯さんやSPの人達が側に居てくれたとしても油断は出来ない。 「それでは私は会議に戻ります。1時間後に会食用の洋服一式が届きますので出掛ける準備をして下さい。準備が出来ましたら明日の会議に使用する書類の整理をお願いします。」 「はい、分かりました。」 頭を下げて部屋を出て行く佐伯さんの後ろ姿を見送った後、蓮のスケジュールを書き込んでいた手帳から一枚の写真を手にした。 「パパ、ママ。」 私はもう蓮の偽の婚約者だと自分に言い聞かせるのは止めたの。 自信を持って蓮の隣に立てるように全ての問題を片付けて、蓮に『愛してる』って伝えたい。 園田香織さんや柳瀬光也が何を仕掛けてきても絶対に負けない。 蓮を諦めない。 だから空の上で見守っていてね。
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