勇気

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「美桜、ただいま。いい子にしてたか?」 会食用の洋服を受け取り出掛ける準備を済ませて暫くすると、会議を終えた蓮が部屋に戻って来た。 「副社長、お疲れ様です。」 『いい子にしてたか?』なんて子供扱いされた事に少し苛々したけど、今は仕事中だから我慢して頭を下げた。 「美桜、出掛ける準備は出来たのか?」 「はい、いつでも出掛けられます。」 「そうか、分かった。少し座って話そう。」 「はい。」 蓮の隣に座るように促されてソファーに腰を下ろすと、蓮が私の顔を覗き込んできた。 「美桜、佐伯から話は聞いたか?」 「はい、今日の会食に園田香織さんが来ると聞きました。後、佐伯さんが同行する事とSPの人数を増やす事も聞きました。」 「ああ、そうだ。園田の馬鹿女が動き出した。俺の予想通りの展開だ。」 「……え?予想通り?」 どういう事? 蓮は今日の会食に園田さんが来る事を知っていたの? 「ああ、予想通りだ。そろそろあの馬鹿女が動き出すだろうと思っていた。恐らく今日の会食への同行は柳瀬光也の指示だ。」 「っ、そん、な……、」 もしかして私が蓮の側に居るという事に柳瀬光也が気付いたの? 私との契約が実行されるまで二ヶ月程あるのにもう動き出したの? もし本当に柳瀬光也が園田さんに指示を出しているなら強い警戒が必要になる。 私が蓮の側に居る自由を手に入れるためには小さなミスも許されない。
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