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「……はあ。」
部屋を出て店の外に停車していた車に乗り込み、強張っていた身体の力を抜いて大きく息を吐き出した。
「美桜、悪かったな。疲れたか?」
「ううん、大丈夫だよ。蓮は疲れた?」
「ああ、疲れた。早く帰って寝たい。」
「ふふ。」
うんざりした表情で肩を竦める蓮を見て笑うと、蓮が腕を伸ばして私を抱き締めた。
「……はあ。」
「蓮、どうしたの?大丈夫?」
蓮が溜息をつくなんて珍しい。
食事もしないで言い争っていたから疲れたのかもしれない。
「……」
返事をしない蓮の背中を撫でると、更に強く私を抱き締める。
「っ、蓮――…。」
何だか蓮の様子がおかしい。
苦しいから離して欲しいなんて言える雰囲気じゃない。
「美桜、俺の側に居るのは辛いか?」
「……え?」
「俺と別れて元の生活に戻りたいか?」
いきなり話し出したと思ったら何を言ってるの?
確かに蓮と再会した頃は帰りたくて仕方なかったけど、私の過去と今の状況を全て話してからは、蓮と一緒に居る事しか考えてないのに……。
もしかして園田さんと言い争った事で心境の変化があったの?
いつも強気な蓮が弱音を吐くなんて似合わない。
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