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「……はあ。美桜の可愛い乙女心に気付かないなんて、蓮って案外鈍感よね。」
「ちょっと、結衣!!からかうのは止めて!!」
一体、私を何歳だと思ってるの?
『乙女心』なんて恥ずかしい。
「あら、どうして?からかってなんかないわ。もしかして、照れてるの?」
「っ、違う、照れてない!!結衣、もうこの話は終わりでいいでしょう?私は今から何処へ行くか決めたいの。」
このまま意地になって話しても、絶対に口では結衣に勝てないから、とにかく話を変えるしかない。
「ふふ、それもそうね。それじゃあ、美桜の『乙女心』については、また今度ね?」
「う、うん。また今度ね。」
もう二度と『乙女心』については話したくないけど、とりあえず今は大人しく頷いておこう。
「美桜、話は終わったのか?」
「……蓮、待たせてごめんなさい。もう話は終わったから。」
「そうか。それじゃあ、出発するか。美桜、何処へ行きたい?」
「うーん、何処がいいかな……、」
いきなり聞かれても、行きたい場所なんて思い付かない。
私は蓮と一緒に過ごせるなら何処でもいいんだけど、そんな事を言ったら、また結衣に『乙女心』って言われそうな気がする。
それだけは避けたい。
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