乙女心

3/8
前へ
/33ページ
次へ
「……はあ。美桜の可愛い乙女心に気付かないなんて、蓮って案外鈍感よね。」 「ちょっと、結衣!!からかうのは止めて!!」 一体、私を何歳だと思ってるの? 『乙女心』なんて恥ずかしい。 「あら、どうして?からかってなんかないわ。もしかして、照れてるの?」 「っ、違う、照れてない!!結衣、もうこの話は終わりでいいでしょう?私は今から何処へ行くか決めたいの。」 このまま意地になって話しても、絶対に口では結衣に勝てないから、とにかく話を変えるしかない。 「ふふ、それもそうね。それじゃあ、美桜の『乙女心』については、また今度ね?」 「う、うん。また今度ね。」 もう二度と『乙女心』については話したくないけど、とりあえず今は大人しく頷いておこう。 「美桜、話は終わったのか?」 「……蓮、待たせてごめんなさい。もう話は終わったから。」 「そうか。それじゃあ、出発するか。美桜、何処へ行きたい?」 「うーん、何処がいいかな……、」 いきなり聞かれても、行きたい場所なんて思い付かない。 私は蓮と一緒に過ごせるなら何処でもいいんだけど、そんな事を言ったら、また結衣に『乙女心』って言われそうな気がする。 それだけは避けたい。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加