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「ねえ、蓮?私は軽い気持ちでこの婚約指輪を受け取った訳じゃないの。だから、この先何があっても蓮から離れない。二度と別れたりしない。」
ずっと蓮の隣に居るよ。
だから不安にならないで。
キラキラ輝く婚約指輪を撫でながら蓮に向かって微笑んだ。
「……美桜。」
「はい。」
「ありがとう、愛してる。」
蓮は私の腕を引いて抱き寄せると、私の耳元で甘く囁いた。
「着きました。」
甘い雰囲気を消すように、運転手の冷静な声が車内に響いた。
「副社長、美桜さん、本日はお疲れ様でした。明日は休日なので、ゆっくりお休み下さい。」
先に車から降りた佐伯さんは、私達に向かって頭を下げた。
「ああ、佐伯もゆっくり休め。何かあったら携帯を鳴らしてくれ。」
「はい、畏まりました。」
「佐伯さん、本当にゆっくり休んで下さいね。」
「はい、ありがとうございます。では、失礼致します。」
佐伯さんが私達に背を向けて再び車に乗り込むと、静かに車が走り出した。
「美桜、中に入ろう。」
「はい。ねえ、蓮?今日はお父様とお母様はお家に居る?」
最近お父様達は凄く忙しいみたいで、毎日色々なパーティーに二人で参加しているから、余り顔を合わせる事がなくて淋しい。
久しぶりに四人で夕食を食べながら話したいな。
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