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「結衣、蓮。いい加減にしないと、俺がみいと二人で出掛けるよ?」
不機嫌な表情で睨み合う二人に挟まれて、オロオロしていた私を救ってくれたのは、今まで静観していたせいちゃんだった。
「嫌よ!!どうして、聖也と美桜が二人で出掛けるのよ!!私は美桜と海に行きたいの!!」
「聖也、発言には気をつけろ。美桜と二人で出掛けるのは俺だ。」
蓮と結衣の睨み合いが終わったのは嬉しいけど、二人の攻撃を受けているせいちゃんが可哀相。
「……はあ。二人の意見なんて聞いてないよ。俺はみいが海に行きたいなら行くし、行きたくないなら別の場所に行く。」
やっぱり、せいちゃんは王子様だね。
真っ先に私の気持ちに気付いくれる、優しい優しい王子様。
蓮は王様で結衣は女王様だから、中々自分の意見を曲げてくれない。
せいちゃんはそんな二人を上手くまとめて、いつも私を安心させてくれる。
「みい、どうする?海に行きたい?」
「私は……、」
どうしよう、正直に言ってもいいのかな?
『海に行きたくない』って言ったら結衣を傷付けてしまうし『二人じゃなくて四人で出掛けたい』って言ったら蓮を傷付けてしまう。
二人共傷付けたくないなんて綺麗事だと思うけど、四人の間に亀裂が入るのは嫌。
こんな風に考えてしまう自分の性格が嫌になるけど、簡単には変えられない。
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