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「父さんと母さん?さあ、知らないな。別に居なくても構わない。」
「もう、どうしてそんなに捻くれた事ばかり言うの?」
「俺は美桜だけが居ればいいから他はどうでもいい。」
「っ、恥ずかしい事を言わないで!!」
「はは、本当の事だから仕方ないだろ?」
私をからかいながら歩いている蓮の表情は凄く楽しそう。
いつも私だけがアタフタしていて余裕がない。
歳の差のせいなのか、どうしても蓮に対して強気になれない。
「はあ、嫌だな。」
こんな風に負けてばかりだと、一生振り回されそうで困る。
何とかして蓮を上手く扱える方法を見つけないと……。
「おい、美桜。何が嫌なんだ?」
「……何でもない。」
私が頭の中で考えている事を蓮に伝えたら、きっと今以上にからかわれてしまう。
それだけは避けたい。
「……はあ。」
玄関のドアを開けて私を待つ蓮を見つめながら溜息をついた。
「お帰り、美桜!!」
「みい、待ってたよ。お帰り。」
「っ、結衣、せいちゃん、どうしたの?」
家の中に入って『ただいま』を言う間もなく玄関に現れた二人。
余りにも驚きすぎて心臓が止まるかと思った。
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