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「おい、俺の言った事が聞こえなかったか?邪魔だから今すぐ帰れ。」
もう、本当にどうしよう。
蓮が不機嫌になったら、私が苦労するのに……。
「……そう、分かった。美桜が帰れって言うなら帰るわ。」
「ああ、そうだな。みいが帰って欲しいって言うなら帰るよ。」
二人共、狡い。
そんな言い方されたら、帰って欲しいなんて言える訳がない。
二人はそれを分かってて言ってるんだと思うけど、蓮の反応が怖くて仕方ない。
「おい、美桜。二人は美桜が帰れと言えば帰るらしい。どうする?」
「え?うん、それは……、」
やっぱり私に矛先が向いてきた。
隣に立つ蓮からは『帰れと言え』ってどす黒い威圧感を感じるし、前に立つ二人からは『まさか帰れなんて言わないよね』って言う冷たい威圧感を感じる。
「美桜、どうなんだ?二人に居て欲しいのか?」
蓮の目が『早く帰れと言え』って訴えてくるけど、私に会いに来てくれた二人に、そんな酷い事言えない。
「蓮、ごめんなさい。私、二人と食事したい。」
疲れてるのに、本当にごめんなさい。
後で何でも言う事を聞くから、今だけは許してね。
とりあえず食事をしたら帰ってもらえるように二人を説得して、蓮のご機嫌取りをしよう。
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