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「ふふ、美桜。蓮が来て良かったわね?」
結衣が意地悪な表情で笑ってる。
「……」
どうしよう、絶体絶命。
結衣の相手を蓮に任せようとしていた事に気付かれたみたい。
「ん?美桜、どうかしたのか?」
「う、ううん、何でもない。蓮、早く食事にしよう、ね?」
蓮に知られたら結衣以上に厄介だから、何とかして話題を変えるしかない。
「ああ、分かった。食べるか。」
蓮の腕を引っ張り椅子に座らせると、テーブルに並べられた料理を食べ始めた。
「美桜。」
それぞれ静かに食事をしていると、いきなり結衣が声を掛けてきた。
「結衣、な、何?」
何を聞かれるのか分からないから、緊張で声が上擦る。
やっぱり結衣から逃げるのは難しいかもしれない。
「くす、何を焦ってるの?私は、今日一日どうだったか聞きたかっただけよ?」
「……」
結衣、凄く楽しそう。
私を怖がらせようと思って、わざと冷たい声で名前を呼ぶなんて酷い。
結衣は小さい頃から意地悪だったけど、十年経って更に意地悪になった気がする。
せいちゃんは昔と変わらず優しいけど、結衣と蓮は悪い意味で変わらない。
本当に困った。
こういう時に頼りになるはずのせいちゃんは、ニコニコ笑いながら料理を食べているから、全く助けにならない。
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