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やっと目が光りに慣れてきて、改めて辺りを見回そうとした少女は、もう一度目をこすった。
目の前に、数人の子ども達が立っていたのだ。
背丈はバラバラ。でも少女よりも小さな子は多いように見える。大きい子、と言っても大体中学生くらいで、男の子もいれば女の子もいる。
「ようこそ"こうのとりの館"へ」
そう言って少女に笑いかけたのは、一番年上に見える少年。少女は少しだけ不安を抱いた瞳を少年へ向け、ペコリとお辞儀した。
「歓迎するよ、ナツ」
黒猫も、少女の足元でうやうやしくお辞儀し、ついでに顔を洗った。マイペースな黒猫を見て、少しだけ少女の表情がやわらかくなる。
少年はフミという名前だと言った。他の子の名前も教えてもらいながら少女は洋館の中に入っていき、子どもたちに紛れて遊びだした。
時間を忘れ
疲れを忘れ
空腹を忘れ……
つらさを忘れ
なみだを忘れ
疑問を捨てて……
フミは少女を一つの部屋に案内した。そこは、とても広い食堂。
広い食堂にたった一人、男の子が座っていた。
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