僕が太陽

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少し話せそうな状態になったのかな?さやかせんせいは、閉ざしてた口を開き出し、言葉が溢れ出した。大体予想はつくけど。でも気が少しでも晴れるなら、聞いてあげよう。 「そうなんですよ。もう多分気付いてると思いますけど、少し前から、彼氏と喧嘩してて。最近仕事行事とかで忙しかったでしょ。会えない日が続いてて。その時に、どうしてたと思います?」 やっちまったか。彼氏。スグにピンときた。そりゃあマズイだろ。 「元カレと、会ってたみたいで。久々に会ってた時に、運悪くメールが届いて…。問いただしたら、ずいぶん前から、会ってるじゃないですか。もう、終わったと思いましたね。それで昨日の夜電話で、別れる気持ちを伝えたんです。 ……。わたしが、何をしたんやろ。何もしてないのに。好きやったのに。」 また泣き出してしまった。 最近、そういえば、ちょっとうわの空の時あったよな。今思えば。何で気づいてあげへんかったんやろ。 それでも、それを出さずに、子ども達と接してたのは、さすがにプロだ。プロの保育士だ。 さやかせんせいを見習わなきゃ。 こんなに、泣くほど我慢してたのか。こんなさやかせんせいを見るのは初めてかも。こんなに崩れるさやかせんせいを見るのは。 「言いたくなければ言わんで良かったのに。また泣いちゃって。はい。タオル貸してあげるから顔を洗っておいで。可愛い顔が台無しや。目腫れへんかな…。ぼくのせいやわ。ごめんやで。」 せめて無理やり笑いを作って、この状況を早くさやちんに回避してもらわなきゃとしたが、状況は、良くならず打破できないでいた。さやかせんせいは、ピクリともせず俯いていた。 もう一つ、上乗せして、打開しなきゃ。早く解放させてあげたい。 それ一心で、搾り出したセリフがこれとは、何とも情けない。 「でも、あれやな。いつも近くにいて気付けへんかったけど、さやちん。何かいい匂いがした。女のコやったわ。それに……。いや。思わず口から零れるとこやった。」 これは、この状況を打破するためにとはいえ、これ以上高ぶる気持ちになる発言はよろしくない。咄嗟に本能でストップしてくれた。 でもいまの発言でもよくないよなぁ。アウトかもしれん。 それに、そんなチンケなセリフしか言えないのか?センパイとしてありえへんなぁ。最悪な先輩やわ
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