僕が太陽

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「あのね。その抱き締めた時に意外と感じてしまってや。当然ちゃ当然やねんけど、マジマジと見る事も無かったし、それにさ、クラスをまとめていく事に必死やったってのも、あったしで。ホンマにじぃーて見てたら、やらしいだけやん。その辺は、ちゃんと一線ひいてたっていうか」 さらに続ける。ふざけられへん状況が続く。 「でも、とんでもない方向から、思いがけない方向から、こられると、えらいもんで、盛って発言しちゃうもんなんやな。さっきホンマに女のコなんやなって、意識しちゃったよ。ぼくはこんなにめっちゃ可愛いコと一緒に仕事してるんや。って思って」 もう今の気持ちを伝えよう…。きちんと伝えたら許してくれる。きっと。 「うん。それで、あのね…。抱き締めた時にふと感じたことがあって…さやちんって、結構あるのね。って言うつもりやってん」 ぼくは自分の胸の前で、手でジェスチャーをしながら伝えた。そうするとふと吹き出して笑ってしまってしまい、恥ずかしさから目をそらしてしまった。 さやかせんせいはどんな顔してるか見ることが出来なかった。 「そんなんあの状況のなか言ったら、嫌われるやん。あと、コンビに亀裂が入ったら、クラス運営成り立たないでしょ。ごめんなさい」 言っちゃった。今まで保育の現場にそんな感情を出したことはなかった。でも一瞬、オトコになってしまったのだ。褒めれるもんでは決してない。 そう思いながら、そっとさやかせんせいの顔を再度見ると、真一文字の口をした、さやかせんせいが間近に居て、じっと見つめていた。 常々思っていたけど、目力が凄くて、たまにセンパイ後輩が、逆転する時があるが、まさに今はそんな感じ。 グーパンチ覚悟していた。でも、何にも口を開こうとも、ピクリとも動かずに、ひたすらものすごい目ヂカラて見つめている。 この間、数秒やったはずやけど、何分、何十分に感じた。 生殺しだ。なんかあるなら早く、制裁を下して下さい。さやちんせんせい。 そう思って、目線をキョロキョロしてた僕は再度目をさやかせんせいにやると、急に動き出して、両手を上に上げて急接近してきた。 覚悟を決めて大きい身体を丸めた。「ごめんなさい」思わず声が出た。でも、さやかせんせいは、僕の丸めた身体に触れて、囁きながらさやかせんせいの身体が近づいてくる。まさにスローモーションの様に。 すると、さやかせんせいは予想だにしない行動に出た。
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