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ふぅ。何とか間に合った。あんまり駆け込み乗車は良くないんやけどね。すんません。
とりあえず汗拭かなあかんわ。タオルカバンから出してっと。んっ無い。一番上にいつも入れてるのに?カバンを下に置いて見てみた。よいしょ。今日は着替えなをだの、昨日持ち帰った製作の試作もあったりで、荷物一杯やったんや。どおりで重いわけや。
あった。あった。一番下にいってた。
“ゴソッ”
んんっ?何か落ちてきた。
座り込んでいた僕は、うえを見上げた。
「あっ。すみません。」
「えっ?」
さっきのツインテールの女のコや。改めてみたら女子高生やんか。近くで改めて見たら、可愛いやんか。ってそんな事、考えてるなんて、邪な、おっさんやんか。
マズイわ。まだまだ僕は若い!
「何かありましたか?」
「定期ケースが…。」
あっそうやった。何が「何かありましたか」やねん。さっきおとしものしてはったやん。何を聞いとんねん。
「そうやったよね。」
運悪く、僕のカバンの中に入ってしまったんや。申し訳ない。僕が電車の中で、カバンを開けたばかりに…。重ね重ね。すんません。
ゴソゴソ…。
あったあった。
「さっき、僕と一緒に走ってはりましたよね?」
と言いながら、カバンの中に入った定期ケースを渡した。一瞬我に返った。初対面で何を聞いとんねん。周りからみたら変なおっさんやん。
「えっ?…そうなんです。今日急がなきゃいけないのに、寝坊しちゃって。ありがとうございました。」
「そうやったんや。大変やね。そりゃそうか。結構一生懸命走ってはったもんね。でも、若いってすごいね。息きれてないもん。ってどうしたの?」
その女のコは、何やらカバンの中を見てるけど。
「いえ。なんでもないです。」
って言う割には必死でなんか探してるけど。
「何かまだ落とした?」
「いえ。落としたのは、定期ケースだけです。すみません。ありがとうございました。」
そう言って180度回転して顔を背けた。でも何か必死に探してるわ。何も無い訳無いんやけどな。見てる限りでは。
「……。」
何かブツブツ言ってる。
「タオル忘れた。」
そういう事か。汗びっしょりやもんね。そういうことなら、今日余計にタオル持ってきたもんね。
「良かったら使います?そんなに可愛いタオルではありませんが。汗かなりでてるみたいやし。可愛い顔が台無しやわ。ハイ。どうぞ」
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