6時40分発の3両目のシアワセ

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暫く話は続いた。いつもより早くに乗ったから、ちょっと辛かった。段々地下鉄が淀屋橋に近づくにつれて、当然人も乗車してきたけど、僕自身その光景は目には入らなかった。目の前の女の子の絶大なオーラにただただ参っていた。それでも、そのオーラに圧倒される事もなく、なんだか、ほっこり暖かいとくる……。居心地のよい感じ。ずっとこの空間に居たい。そんな想いにさえ思えてしまう。 女のコが降りる淀屋橋に着かないで欲しいと思ってきた。 僕と、二人きりの空間?そんな風にも感じていた。 ただ楽しかった。 「そうなんや。大学卒業したら、どうするの?」 「まだ決めてない。」 「ふぅん。決めてないんや。何かアドバイス出来たらいいんやけどね。まだ2回生やったら、就職活動とか、少し先やもんね」 うん?また何か、顔色が一瞬変わったような気が…。今の会話、別にたわいもない会話やったんやけどな。 「まぁ、私も子ども好きなんです。」 「マジで?じゃあそっち方面の職かな?それやったら、色々アドバイス出来るかも」 「そうですよね」 って、またまたおいらは何言ってるねん。もう、会うかわからへんのに、また次会うとか何を思ってるねん。そう思ったら、何か淋しいような。そういやぁ名前を聞いてない。でもこんな状況の中で、名前聞いてもいいのかな。 「そういゃあ。名前を言ってなかったよね。」 「そうでしたよね。私の名前は、まつだふみです」 「ふみちゃんって言うんや。僕は、さはたはやとです。」 そう、自己紹介を済ませた後、この瞬間が訪れた。 きて欲しくなかった瞬間。 「淀屋橋やで。何か、何を話したかわからへんけど。久々に朝の電車通勤が楽しかったわ。まつださん」 「そうでした。あっという間やったです。いつも、電車の中って、一人の空間やけど今日は、さはたさんのおかげで楽しかったです。今日一日がハッピーな日になりそう。うん。絶対いい一日になるわ。ありがとう」 そして、電車の速度が遅くなり始めた。と同時にやってくる別れ。
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