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「修二、ボーッとしてどうした?」
「煩い。」
茶化すように話す貴司の声に苛立ちが募る。
チャラチャラした貴司の言葉に悩まされてる自分が情けない。
「修二君、大丈夫?」
俺の手を握って心配そうに見つめる理奈が堪らなく可愛い。
こんなに愛おしい存在を独占欲や束縛で失う訳にはいかない。
「理奈、ごめんな?俺は大丈夫だよ。」
「本当?何か心配事があるなら話してね?」
理奈は純粋で優しい。
誰に対しても変わらない態度で接する理奈は、高校時代に皆から注目されていた。
自分がモテる事に気付いてない理奈を見守っていた高校時代は大変だった。
俺を差し置いて理奈に告白しようとする男を力で捩じ伏せたり、遠巻きに理奈を見つめる男達を視線で威嚇していた。
理奈は天然で少し世間知らずな所があるから心配で仕方ない。
「理奈ちゃーん?質問があるんだけど聞いていい?」
「は、はい。渡辺君、どうしたの?」
「渡辺君じゃなくて貴司って呼んで欲しいなー。」
「で、でも……、」
貴司、マジで殺す!!
俺の理奈に色目なんて使っていいと思ってるのか?
貴司が俺の反応を見て面白がってるのは分かるが、理奈以外に優しくするつもりはない。
此処から生きて帰れると思うなよ?
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