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我ながら情けない接点だと思うが、それでも糸の様に頼り無い繋がりを大事にするしかなかった。
いつか俺よりもイイ男に出会って、恋をして、結婚して……
仮にそうなったとしても、幼馴染である事だけは消えないから。
俺は瑠奈が好きだ。
だけど、だからこそ関係を壊したくないから、幼馴染でいる事を選んでいる。
道行く恋人達を見送りながら、俺はそんな事を考えていた。
「あ、ちゃんとテスト勉強してきた?」
「あ、いや……来年から本気出す」
「またそれ? もーっ。私と同じ大学に行けなくても知らないよ?」
「ははっ。行けるわけねえだろ? 俺とお前じゃ頭の造りが違うんだから」
「……馬鹿」
頬を膨らませ口を尖らせた瑠奈の頭に手を乗せ、ポンポンと優しく叩いた。
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