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思いっきり石を投げた
たかくたかく
太陽と重なった
光を背に浴び落ちてった
もうあの石は見つけられない
たくさんの石の中のひとつになった
もしもあたしが石だったらなぁ
いつも周りと同じになれるのに
もしもあたしがはっぱだったらなぁ
仲間に囲まれて歌えるのに
もしもあたしが太陽だったらなぁ
寂しい夜なんか作らないよ
あぁ
本当のあたしはどこ?
たとえば
木陰で休むコオロギだとか
たとえば
海にうかぶクラゲだとか
たとえば
空を泳ぐ雲だとか
あなた達みたいになりたいなぁ
ゆっくりでも良いから
本当のあたしを探していくわ
ゆるりゆるり時は流れ
見付たのは
水に沈めたビー玉だとか
誰かが落としたぬいぐるみだとか
空に描いたひこうき雲だとか
そんなキラキラじゃなくて
何処にでもにいたあたしだったわ
見つからないんじゃなかった
気付かなかっただけだった
最初からあたしはいたのね
思いっきり石を投げた
たかくたかく
太陽と重なった
あたしはもう迷わない
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