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ちゃんと目が覚めたのはお昼の少し手前だった。
オレはみなもより早くに目が覚めて、朝食兼昼食を作っていたら。
「…………こうせ、い…!」
オレの部屋からなぜか涙目なみなもが。
そのまま前から抱きつかれて、ぎゅってされて、首元に顔を埋められて。
とりあえずわけがわからなかったけど、左手で背中を、右手で頭を撫でてやった。
「………こうせい、いる…?」
「いるよ、いるいる」
「………め、さめたとき、こうせいいなかったから、怖かった…」
たったそれだけでか。
なら普段はどうなの、と思ったけど、あ、オレが帰ってくるって分かってるから大丈夫なんだ、と自己解釈して。
うさぎより重症じゃないの、なんて苦笑い。
「ごめんごめん」
笑って謝った。
「……こうせい、いなくなっちゃやだ」
「いなくならない」
だって帰る場所は、ここしかないから。
「………ほんと?」
ついでに、
「ん。それに、みなもが居てくれたら、オレは嬉しい」
一人で帰ってきて「おかえり」がなかったのは、すっごく寂しかったから。
みなもがきて、まだ疑問系だけど「おかえり」って言ってくれたのはすっごく嬉しかったから。
みなもの存在はオレの中で、この一週間でとても大きくなった。
まるでありがとう、とでも言うかのようにみなもはオレの首をぺろっと舐めて、顔をあげた。
「ご飯できたから、食べようか」
笑ったみなもは、かわいかった。
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