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「…………いってらっしゃい、こうせい」 「………ん、行ってくる」 二人分余裕なくらい立つスペースがあった玄関は目の前の男の身長に圧倒されてしまっている。 そんな所で、オレはオレより背の高い目の前の彼の頭を撫でる。 この大きい彼の名前はみなも。 苗字は分からないそうだ。 真っ黒な髪に、病的なまでに真っ白い肌。 そして、黒髪から生える二つの黒い耳。 ねこ、耳。 それと、しなやかな黒くて長い尻尾。 まず言っておこう。 オレはこんな非人間なんて知らない。…知らなかった。 名前はもちろん、顔も性格も中身も。 オレがこの子と住むまでとある経緯がある。 時は一週間前に遡る。
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