1-1章「命の日」

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「折角お揃いだったのに・・・」 「ぇ?何?」 「なんでもないですー」 何故か不機嫌そうな妹の様子を横目に時計に目を向ける。 2025年 4月6日 7:45 という数字がデジタル時計の盤面に踊っていた。 「なんだーまだ一時間前じゃん」 「今日って高校の始業式でしょ?」 ベッドに再び倒れこもうとする私を阻止しながら鈴が「始業式」という言葉を発 する。 「そーだけど。あぁ・・結局春休みなんもやってないよー」 もちろん宿題とか諸々含めて、だ。 「あと、鈴とお姉ちゃんの誕生日」 明るい声音で嬉しそうに告げる鈴。 「そうだった。脂の乗った18歳になったんだった」 鈴に向かってにへらっとした崩れた笑みを漏らす。
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