1-1章「命の日」

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兄と自分、二人だけで囲む四角いテーブルの食卓。 兄と向かい合うようにして座わっている席の左右には、テーブルの内側に仕舞わ れたままの椅子が向かい合うように二つ。 「・・・ティア、お前今日は仕事は?」 黙々と食事を口に運んでいた兄が唐突に問い掛けてくる。 「今日は孤児院に行こうかと・・・。兄さんは?」 「俺はいつも通りだよ。さすがにそろそろ休みが欲しいが・・・そんな事も言って られないからな」 「無理だけはしないでくださいね」 「わかってるよ」 肩を回しながら兄は微笑む。 それに応えるように、私も微笑みを返した。 「それじゃあ、食器だけ片付けておいてくれるか?俺はそろそろ行くから」 「はい。行ってらっしゃい」 食事を終えた兄は席を立ち、そのまま玄関へと向かって行く。 自分の分の料理を食べながら兄が玄関の扉を開け、出て行く音を聞いた。
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