1-1章「命の日」

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兄が家を出て行った後に続くようにして家を後にした私は、緩やかな坂道を登っていた。 この緩やかな坂道を登りきったところに孤児院があるのだ。 坂の途中で振り返れば、今まで慣れ親しんだ村が一望出来る。 村の中央に位置する広場には人影が窺える。 広場を囲むように様々な露店を出している露店商達と、疎らに立つ建物。 視線を上げれば遠くに海も見える。 私が生まれ、育った小さな村。 「・・・」 しばらくその景色を眺めていたが、正面に向き直り坂を上る。 間もなく孤児院に着く。
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