しかくい月と、ぼくと、なつ。

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「三十歳になる前にもう一度クラス会やっとこうよ」

　小学校の卒業を記念して「十年後にみんなで掘り出そう」と埋めたタイムカプセルを掘り出した七年前。その時の、誰かのそんな一言で今回のクラス会は決まったらしい。

　誰がそれを言い出したのかなんて誰も覚えていなかったみたいだけれど、同級生のほとんどが二十九歳になる頃には、誰かによってしっかりとクラス会は企画されていたのだと、気が付けば今回の幹事を押し付けられていたという元学級委員長の岸さんは言った。

　タイムカプセルを掘り出した時を含めると、これまでに三回ほどぼくの同級生たちによるクラス会的なものが催されていたらしいけど、ぼく自身が高校を卒業してからは地元を離れていた時期が長くあったということと、他人と必要以上に付き合うことに関してめんどくささを感じていたせいもあって、結局そのどれにも参加することをせずにいた。

　そんなぼくが、今回のクラス会に出席することにしたことにはそれなりに理由がある。

　まずひとつは、ぼくにかかってきた一本の電話だった。