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 会場は、ぼくたちが通っていた小学校のすぐ近くにある焼肉店の『美作』だった。二階に四十人ほど入れる宴会場があり、そこを借りることができたらしい。  ぼくたちが小学生の頃からもかなり美味い肉を出す店として地元では結構な人気のあった『美作』でのクラス会に、クラスメイトたち、特に男連中はたいそう喜んでいた。  この店の店長は、昔からこの学区の小学生たちにソフトボールを教えているだとかで、今回の幹事である小学六年生のときにはソフトボールチームのエースでキャプテンを努めていた元学級委員長の岸さんは、彼をよく知っているらしかった。  そういったわけもあってか、「今回は岸さんの顔を立てて特別に……」と前置きした『美作』の店長から、今日の料金が本来なら『美作』のメニューにはない「食べ放題、飲み放題」で一人につき四千円でのサービスをしてもらえることが発表された。  クラスメイトたちが『美作』の店長と岸さんに向けて歓声と拍手を送ると、二人は得意気な表情でピースサインをつくった。 「あたし、ここのお肉食べてみたかったんだ。岸さん、お手柄だよね」  ぼくの耳元で、不意に声が聞こえた。
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