127人が本棚に入れています
本棚に追加
つい私も呼び捨てにしてみたくなった。
えーい、アユとメグって呼び捨てにしちゃえ。
人生初の、それも出会ったばかりの友達の呼び捨てに、清水から飛び降りる気持ちで…
「そ、そんなメグもアユも悪趣味です。人の失敗待ってるなんて…。」
口を尖らせて遠慮がちに抗議した。掌にジットリ汗をかきながら反応を伺う。
二人の笑顔は変わらなくて、初めての友達呼び捨てに一瞬緊張した体が緩んだ。
目まぐるしい心の変化に、心臓はさっきから煩いくらいドキドキを繰り返している。
二人は気付いてないようでホッとする。
「失敗して誰も何も反応しなかったら反って凹むでしょ?
笑って貰う方が、気持ちが楽になるよ。だから、紗彩矢の為にもなる。私達も楽しい。
ほら、一石二鳥じゃない?」
メグの言葉は一理ある。笑われてちょっと楽になるのは、たった今経験ずみだ。
緊張の反応を種に笑われることは不本意ながらも、人見知りの私に早速出来た友達の笑顔に、いつしか自然な笑顔を向けることが出来ていた。
姉御肌のメグのお陰で、友達のいない寂しさを味わうことなく高校生活を始められる。
遠慮のない二人に親しみを感じる。
楽しくなりそうだ…
これから始まる高校生活に不安より期待が大きく膨らんだ。
最初のコメントを投稿しよう!