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「あ、あの、副委員長の真木紗彩矢です。
頼りないですがよろしくお願いします。」
心臓はバクバクして、頭から湯気が出そうなくらい熱くなる顔を隠すようにペコリと下を向くと
先生が拍手を始め、一斉にみんなも拍手をくれた。
挨拶が終わって、ホッとして小さなため息を吐いた。
人前で話すなんて何年振りだろう。
今まで授業のときも当たらないように、目立たないように気配を消して生きてきたのに…
これからはそれが出来ないんだと思うとズシリと気が重くなった。
頼みの綱は賢そうな高橋くんだ。
チラッと彼を見ると、眼鏡の向こうから優しげな目が笑ってた。
「いいぞ、真木。お前のペースで慣れていけばいいからな。
高橋よろしくな。
じゃー役員決め、早速高橋、真木そのまま司会して。この紙に沿って決めていって。」
それを受け取った高橋くんが徐に司会を始めた。
さすが高橋くん。流暢な言葉でそつのない司会だ。
私は黒板に委員会毎に決まっていく名前を書きとめていくだけ。
高橋くんがどんどん進めていってくれるのが頼もしかった。彼がいれば何とか前に出ないでやっていけそうだ。
無事ホームルームを終えると、
「お疲れ様。これから宜しく。」
眼鏡の奥の涼やかな瞳を少し細めて笑顔ををくれる。
彼はまるで出来杉くんみたいだ。
何でもそつなくこなし、気遣いも忘れない。頭がいい人なんだろうなーって思う。
「よ、よろしくです。」
頼もしい高橋くんにペコリと頭を下げた。
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