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「紗彩矢が可愛いから言ってるの。ホントにオモチャにしてる訳じゃないの。 ねえ、アユ。」 「同感。」 アユもニタニタ笑ってる。 あー、もうやけくそだ。 やってやろうじゃない。日陰生活卒業してやろうじゃない。 高橋くんだっているんだから、大丈夫だよね。 メグたちが私のことで楽しんでるのを見て、悩んでるのが何だか馬鹿馬鹿しく思えてきた。 「もう覚悟を決めた。私やる。」 「おーおーその調子。応援するからね。」 三人のお陰で私の周りは賑かで、それでなくても日陰卒業してるみたいだ。中学まで目立たぬように隅を歩き慣れた私には、刺激的すぎる高校生活に疲労困憊の日だった。 放課後… 帰り支度をしていると、高橋くんが声を掛けてきた。 緊張で一気に固くなる体。 「真木さん、明日は放課後 代表委員会があるから。」 黒ぶち眼鏡から見える涼やかな目と低音の響く声に少しドキッとした。 同じ年とは思えない。背が高くてスリムで立ち振舞いがスマート。 漆黒の髪はキッチリ七三に分けてある。 ヘアースタイルのせいで少し老けて見えるけど、眼鏡を外したらかなりのイケメンかもしれない。 そんなことどうでもいい。今の私には救世主。一番頼りたい神のような人だ。 「は、はい。分かりました。」 大人っぽい高橋くんには敬語しかでない。
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