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私は真木紗彩矢。今日から高校生。 「紗彩矢、早く起きて支度しなさい。 朝ごはん用意しといたから勝手に食べてね。」 今日は入学式。 母と一緒に学校に行く。 父は仕事人間で、寝に帰るだけの人だ。 職場が少し遠いこともあって早く家を出ていくから、この頃は休日くらいしか顔を合わさない。 一人っ子の私が高校の入学式というのに仕事優先の父。 来て欲しいとも思わないけど、ちょっと薄情かなって思ってしまう。 家族のために朝早く出かけて一生懸命働いてくれてるんだから、ありがたいと思うべきなんだろう。 専業主婦で普段あまり飾り気の無い母は、この時ばかりに綺麗にメイクして今年買ったピンクのスーツとヒールの高い白いパンプスでカツカツ歩く。 私の入学式と言うより、母にとっては発表会なんじゃないかな。 私はまだ綺麗で輝いてますと…歩き方までなんだか違う。 確かにバッチリ化粧をした母は、別人のようにキレイだ。
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