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「真木紗彩矢さんでしょ?私は三神めぐみ。
西中出身、よろしくね。」
振り向くと、そこには人懐こそうな顔が笑っていた。
体が固まって一気に顔が熱くなる。
「あ、ああ、は、はい。よろすくでしゅ。」
突然の声かけに、緊張して…顔が強ばり、上手く口が回らない。
か、かんでしまった…
嫌な汗が滲んでくる。
三神さんは一瞬口をポカンと開けて固まったと思ったら、次の瞬間、思いっきり笑いだした。
「キャハハハ…
アハハハ…
よろすくって…
でしゅって…
ちょっとー、真木さん何弁しゃべってんのぉ?」
三神さんが顔をくしゃくしゃにして楽しそうに笑う。
またやってしまったと言う後悔で折れそうな気持ちが、笑われたことで少しだけ浮上する。
「はは…緊張して…。」
背中に冷たい汗が滲むのを感じながら照れ笑いをした。
頬が熱い。きっとまた赤くなってる。
三神さんの楽しそうな笑いに前の中里さんが反応した。
「楽しそうね。私も入れてよ。
私、中里歩美。アユって呼んで。」
屈託のない色白の笑顔を向ける中里さんに、緊張が少しだけ緩んだ今は固くならずにすんだ。
「私、三神めぐみ、メグだよ。
聞いて聞いて、紗彩矢ったらね、よろすくでしゅって、笑いが収まんない。あははは…」
すると中里さんも笑い始めた。
いつの間にか紗彩矢と呼ばれてる。
「よろすくって…
もしかしてよろしくのこと?
ぷっ、あははは…
緊張の中でそんな言葉聞いたら力抜けて笑いが止まんなくなるよ-。
紗彩矢って面白い。」
中里さんの緊張という言葉に、私だけじゃないんだと少しだけホッとする…けれど、初対面から笑われてることに落ち込む気持ちもあった。
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