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戦慄く脚は膝から下が上手く引き上げられず、踵が浅く浮いては沈みを繰り返す。
焦燥に突き動かされるまま無理矢理引き摺るようにして動かしかけ――――無音であった筈の空間に、侵入してきた気配と音に動きを止める。
「…………………。」
………まだ、いたのか。
まだ、殺しきれていなかったのか。
身体の中心、心臓の裏側。
底無しの『虚』の奥から噴き上がる殺意と警戒と怒りと緊張と、無理矢理引き摺り出したどす黒い歪みに身を任せようとして、気付く。
「…………。」
俯き、足許に向けていた視線の先を前方、数メートル先の地面に突き立て、そこから更に上へ。
うえへ。
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