悪夢のあの日から、三ヶ月。

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「探してるの。あたしを呪い殺したヤツを」 「呪い殺した……?」  呪いで死ぬ? そんな事があるのだろうか。これまた信じ難い発言ではあったが―― 「そう、あたしはクリスマスの日に、サンタのカッコした幽霊の呪いで死んだの。あいつ、自分が生きてる時不幸だったからって、あたしを巻き添えにしやがったんだよ!? 信じられないでしょ! 絶対に見つけ出して、コテンパンにしてやるんだから!」  リシェルの言動には、どんな実力派女優の台詞よりも熱が籠っていた。持っていた杖をへし折らんばかりにグッと握って。  とても彼女が嘘をついているようには見えない。もしかしたら本当は病気か何かで亡くなって、それを呪われたと勘違いしているのかもしれない。  何と言ってあげるべきか迷ったが、こういう時こそシンプルが一番だろう――と大人の考え方をして、私はこう言った。 「分かった。でも無理しないでね」  叫び疲れたらしいリシェルは、はぁはぁ言いながら、落ち着きを取り戻しつつあった。そして。 「大丈夫……。でも、ここにあいつはいないみたいだから、あたし、もう行く」  束の間の楽しかった時間にも、終わりが近づく。 「そっか……。気を付けて、って言うのもなんかヘンかな。そうだなぁ……」  幽霊であるリシェルには、どう別れの言葉をかけたものか。私は少し悩んだ。思い付いたのは。 「……あ! 生まれ変わったら、また会えるといいね」  その、生まれ変わりの事。私は数年前、ある本で読んだ事があった。  死後の世界の事は誰にも分からない。けれど『死んだ後にも良い事が待っている』『生まれ変われる』と信じて生きていた方が未来に希望が持てる。  だから、生まれ変われると信じて生きなさい――と。
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