1:演出された悲劇の裏の惨劇①

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授業なんてくたばればいい。 仕方なくノートを開いて、仕方なくペンを握って、仕方なく黒板にかかれてあることを書き写す。 先生の言葉は呪文で、黒板の文字は暗号。解析不可能。“今の僕”にはちっともインプットされない。 頬杖をついてよそ見をしていたら、案の定、先生に睨まれた。 女の人なのにゴリラみたい。腹が出ただらしない体型。 古典の先生=和風美人の方程式は、必ずしも成り立つわけではないらしい。 あぁ、鬱陶しいな。 僕はとうとうゴリラの視線に耐えきれず、手を挙げた。 「先生、気分が悪いので保健室に行ってきます」 丁度いい。サボっちゃえ。 授業なんて退屈なだけ。そんな暇があるなら、これで今夜のお友達でも探そう。 僕は携帯をズボンに忍び込ませ、教室を後にした。
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