1:演出された悲劇の裏の惨劇①

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ここ一週間で僕の生活はがらりと変わった。 あの日から、僕は毎日こうして、すぐにでも“繋がる”ことができる相手を探している。 でないと落ち着かない。 なにも手につかない。 必要とされたい、僕の欲求。 安心感、充足感はこの行為でしか満たせない。 後々空しくなる、気休めだとわかっていても止められない。抜け出せない。 いけないことだって、自分でもよくわかってる。 けど無理なんだ。 とても無理。 それとね、あの日僕は思い出しちゃったんだ。“大事なこと”。 ずっと忘れていた“大事なこと”。 それを知ったら、多分誰だって正気じゃいられないよ。 僕は前以上に、寂しいのが怖くなった。一人が嫌になった。 そして一日がもっと、24時間よりもっと長ければいいのに、そう思うようになった。
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