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「もう大丈夫.....ありがとう」
暫くたち、泣いて目を赤くした彼女は彼の腕の中から顔を上げた。
「そうか.....飯食うぞ。腹へったしな」
「うん」
弱々しく返事をした彼女におにぎりと魚の塩焼き等を渡した。がっつきはしなかったが直ぐに平らげた。
「ありがとう。美味しかった」
「まだあるぞ」
「いらない」
彼女は満足したらしく、小川の横の石に腰を掛け何処か遠くを見つめる。とても儚げで美しく誰もが目を奪われる光景だろう。
「俺の名前はレイ、お前は?」
「私はユキ」
今はまだ名前の通り直ぐに消えてしまいそうなのだが、彼はいつか陽に照らされても消えず、美しい輝きを保つ人になって欲しいと思った。
「いい名前だ」
「ありがとう」
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