題名一

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「もう大丈夫.....ありがとう」 暫くたち、泣いて目を赤くした彼女は彼の腕の中から顔を上げた。 「そうか.....飯食うぞ。腹へったしな」 「うん」 弱々しく返事をした彼女におにぎりと魚の塩焼き等を渡した。がっつきはしなかったが直ぐに平らげた。 「ありがとう。美味しかった」 「まだあるぞ」 「いらない」 彼女は満足したらしく、小川の横の石に腰を掛け何処か遠くを見つめる。とても儚げで美しく誰もが目を奪われる光景だろう。 「俺の名前はレイ、お前は?」 「私はユキ」 今はまだ名前の通り直ぐに消えてしまいそうなのだが、彼はいつか陽に照らされても消えず、美しい輝きを保つ人になって欲しいと思った。 「いい名前だ」 「ありがとう」
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