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「うーん…。高木さん?………やっぱ無理だよー」
しかし、馴れ馴れしい人だなー
初対面………なのに。
って、それは私だけか…
あー!記憶が無いって、ややこしいー!
ん?
待てよ?
今、この人、私がキッカケで入社したって言わなかった?
どういう意味?
なんか、これって聞き返さない方が無難な気がする。
よし!
この人が言った事は忘れよう。
「でも、社内で名前で呼ばれたら、白い目で見られるから…」
「えーっ!社会人って面倒臭いよな!」
そうだよー、学校とは打って変わって、非常に厳しいんだぞ!
私なんか、残業で12時回った事もあるし、飲み会では、まるでホステスの様にお酌して回らないといけないし、理不尽な事が沢山あるんだよ。
と言いたかったが、見も知らぬ人に語るべき話じゃないと思い、言葉を飲み込んだ。
「ところでさー、沙羅……あ、高木さん。記憶、戻らないの?」
はぁ~?
ズケズケと人の事に立ち入る人だなー
帰ってもいいですか?
「少しは何かを思い出した?」
うー、めんどくせー!
でも、悪気はないんだろうなー。
「うーん、殆ど思い出せないんだー。奈美も両親も全然教えてくれないしー…」
「ふーん、そうなんだー。俺が知ってる事なら何でも教えるから聞いてな」
な、何よ!
急にいい人に見えて来たじゃない!
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