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「どこ行く?」
「えっとー、車置いてくから、近場にしよ」
「オッケー!んじゃ、沙羅ちゃんの行きたい喫茶店に行こっか」
「はい」
私は以前から気になっていた喫茶店を提案してみた。
通勤する車の中から見える、2階にある一面ガラス張りの喫茶店『花とてんとう虫』
信号で止まると必ずその喫茶店を眺めてしまう。
どこか懐かしいようなむず痒いような、何とも言えない感情が沸き上がってくる。
そこが何なのか確かめたい気持ちもあり、そこへ行く事にした。
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カランカラン!
ドアを開けると、大きな鈴の音がなった。
「いらっしゃいませ」
カウンターの中から、恰幅の良い中年女性が声を掛けてきた。
私はじーっとその人を見詰めたが、何も感じなかった。
相手も私の事、知らないみたいだなー
窓際のテーブルを選び座った。
うにゃ?
ここに来たことある!
誰かと2人で来た!
んで、外の国道を眺めながら、沢山お話ししたような…
うーん
誰と来たんだろう?
思い出せない…
前に座った長谷川亮が、そんな私の様子を見て不思議そうに声を掛けてきた。
「沙羅ちゃん、どうしたの?」
はっ!
いきなり現実に引き戻された…
「ん?何でも無いよ…何でも…」
「沙羅ちゃん、何飲む?」
「アールグレイ飲みます」
「コーヒーとアールグレイお願いします」
長谷川亮は注文した。
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