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翌日
彼はテレビを見ていた。
正確に言うならばニュースであり、事件現場の取材である。
一昨日、東京駅のホームでナイフを持った男が次々に人を刺したという事件。
よくニュースで流れてそうなありきたりな事件だが、今回の事件は不可解なものだった。
負傷者が一人も出ていないのだ。
何故?どうして?英晴は疑問に思う。ニュースでやっていた事件当日のカメラ映像では確かに犯人はナイフを持っていた。
刺されたのはおよそ17人なのだが、重傷や軽傷どころか全員無傷であり事件は丸く収束している。
英晴は興奮していた。ナイフで刺された者達が全員無傷なんてことは理論上有り得ない。最低でも軽傷で済む筈なのに、全員無傷だなんて、理論という概念を破ってこのような不可解で非現実的な出来事が起こるなんて凄い!!サスペンスドラマみたいだ!!英晴は興奮が収まらず跳びはね続ける。
しかし、ニュースキャスターの一言によって英晴の興奮は収まることとなる。
『犯人は決行前に知らない人物達と遭遇しナイフを奪われたそうです。犯人のナイフを奪った者達はコスプレのような格好をしており、「このナイフは切れ味がいいと言って別のナイフを別のナイフを渡されたと犯人は言っていました』
コスプレのような格好をした知らない人物達?
英晴はよく意味が分からず、暫し黙考する。
知らない人物って言ってたから犯人とグルの可能性は無いな。そもそもそいつらは何者なんだ?ナイフを奪ったまでは良かったけど別のナイフを渡すってどういう事なんだ?
英晴は考えても結論まで至らず、昼食を買いに外へ出た。
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