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屋敷
私はつい一ヶ月ほど前に頼りにしていた両親を失った。
家の一人息子が生まれてから延々と引きこもっているのだから死ぬ時は、とてもやるせなかったはずだ。
両親の葬儀の為、私は久々に外へ出た。葬儀自体は親戚が行い、自分に対する親戚の厳しい物言いを除けば滞りなく終わった。
私が教会から家へ帰る時、一人の笑顔の明るい男性が声を掛けてきた
「すみません、ウィルソン=ダグラスさんですか?」
突然、知らぬ人に声を掛けられ動揺したが
「ええ、私がウィルソンですが何か?」
正直、私は外にいるだけで我慢なら無かったので早く話を切り上げたかったのだが、今思うとあのとき男を無視して家に帰っていればこのようなことにはならなかったと後悔している・・・いや、仮に無視したとしても家まで押し掛けて来ただろう、彼からはそんな感じがした
話を戻す
私の問いかけに男は
「私は、母方の親戚でニャールと言います、実は生前あなたの母親からこの家の権利書を将来ウィルソン君が一人前になった時にと預かっているのです」
そう言って男は一枚の紙切れを見せた
そこにはアーカムのやや外れの方の住所が書かれておりどうやらそこの家の権利書のようだ
「家・・・ですか?」
「はいっ!どうやらあなたのお母様はあなたのことを思ったらしく、このアーカム市の外れにある屋敷を買っていたのです。しかも、あの屋敷はあなたの好み通りとても中は暗く真っ昼間でも締め切れば光は一筋も入りません!」
私は、この時母親が屋敷を買ったとして何故この男に預けたのか、何故私が暗い所が好きなのを知っているのか疑問に思ったが、締め切れば光が一筋も入らないと聞いてその屋敷の権利書をもらい屋敷に住みたいと強く思っていた。
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