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「それは仕事なんだから仕方なくない?」
「…仕方ないけどさぁ。そんなんばっかだよ?」
「いいじゃん。イケメンなんだから、私だったら許しちゃう!」
「そこもムカつくんだよ。」
「?」
「イケメンだからなんでも許されると思ってるんだから。」
「まぁ、それは仕方ないじゃん!事実だもん。」
「……私は弥生と違うの。人間は平等でしょ?イケメンだろうがブサイクだろうが俳優は俳優なんだし…」
「相変わらず、圭はかたいというかまじめというか…そんなんじゃ一生独り身だよ。」
「はぁ!?それとこれ、関係なくない?」
「関係あるある。ばかまじめに仕事して、ばかみたいな哲学語って、仕事に邪魔なものには文句言ってさ、そんな上手くいく仕事なんかないって。それに、イケメンに囲まれた職場で恋愛もなにもないって女としてどうなの?」
「相手は俳優だよ?」
「人間は平等なんでしょ?俳優だろうがスタッフだろうが一緒でしょ?」
「それとこれとは、話が違うもん。俳優は俳優。スタッフはスタッフ。人種が違う。」
「違わないでしょ?」
「違うよ。一生交わることはないと思う。」
「思ってるだけでしょ?ADと女優が結婚とか、一般人と俳優が結婚とかあるじゃない。」
「それは、一般人という名前の売れなくて芸能界をやめた元グラビアアイドルとか、長期の海外ロケの仕事とかで愛着が湧いちゃって離れられなくなった世話係とかでしょ?」
「そうなの?わかんない。」
「普通の一般人と俳優は出会わないし付き合わないから。」
「でも圭は出会ってるし、一般人じゃないでしょ?」
「一般人だよ。」
「そっちの業界で働いてるんだから業界人でしょ?」
「…だとしても、ないものはないから。仕事なんだからこっちは。」
「へいへい。」
イケメン俳優という名の商品に手を出すなんてできるわけがない。商品を扱う芸能プロダクションから、商品を借りている製作会社、それからその製作会社から声がかかった会社にまで迷惑をかける。商品を応援するファンにまで至るときもある。
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