普通じゃない出会い

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どうせ、陰では『根暗』とかそんな感じのあだ名を付けられているんだろう。 あまり人気のない廊下をぶらつきながら、他人事のように考える。 いろんな教室から漏れ出した笑い声が、廊下に反響して溶けていった。 ……………そろそろ、戻るかな。 喉の奥で呟いて、私は踵を返した。 と、その直後。 「────────え」 「きゃっ…─────」 ドンッ、と。 振り向きざまに、私は誰かとぶつかってしまった。 相手を確認する余裕もないまま、重力に逆らえずに倒れ込む。 その結果。 「…………んっ」 唇に、柔らかい感触。 私の身体の下に、何かの温もり。 否、“誰かの”だ。 そう理解した瞬間、私は弾かれたように起き上がった。
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